海事プレスに当社記事が掲載されました [新造客船で都道府県とコラボ アンカー社が地域創生セミナー、金融機関ら参加]
アンカー・シップ・パートナーズは22日、地域創生セミナー「×47の底力」を開催した。金融機関や地方自治体の地域創生、ビジネスマッチングの担当者などを対象とし、コンテナ船、飛鳥クルーズ、自然エネルギーをテーマとした講演や対談、座談会が行われた。アンカーが出資する郵船クルーズが2025年に就航させる新造客船について、篠田哲郎社長は「地域創生の具体化をしたいと思っており、47部屋を各都道府県の特産品を中心に彩っていきたい」とし、金融機関らに提案や支援を呼び掛けた。

セミナーには、東京の会場とオンライン視聴を含め金融機関など約80社が参加した。全都道府県の企業からの参加を得た。
第1部は、オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の塩見寿一バイスプレジデントの講演に続き、岩井泰樹マネージングダイレクターがアンカーの篠田社長と対談。ONE設立時や、コロナ禍に伴うコンテナ物流混乱時のエピソードなどを紹介した。
塩見氏は、18年4月のサービス開始以降の約5年間を振り返り、「発足から短期間で利益を出せる体制を実現したが、これは設立段階における適切な会社設計と社員の努力によるもの」と評価。今後は持続可能な成長(Sustainable Growth)を目指す方針で、この一環として昨年からはコンテナ船の自社保有に向けた取り組みも進めている。コンテナ船社は通常、マーケットが良い時に発注し、悪い時に発注を控える傾向があるが、「ONEは基本的に定時定量でコンテナ船やコンテナを発注していく」(塩見氏)方針。昨年11月には、コンテナ船主シースパンの親会社であるアトラス社の主要株主間において、アトラス社の発行済み全株式を取得する最終契約を締結した。岩井氏は「環境対応が大きなテーマになる中でアトラス社とよいパートナーシップを築ければ」と語った。
第2部は飛鳥クルーズとの新たな連携がテーマとなった。郵船クルーズの河村洋執行役員が、25年半ばに営業航海を開始する予定の新造船について、サービスのコンセプトや地域とのつながり強化への期待などを語った。
河村氏は「10年後、20年後にお客さまがどのような価値を求められるか、それにどう応えるかを考えている。その中で、ウェルネス、本物の提供、パーソナライズされたサービスという3つの観点から、お客さまに最高の時間を過ごしていただくことを考えてサービス面、ハード面も含めて構築している」と説明。ウェルネスについては「伝統工芸なども含め日本には素晴らしいものがまだまだある。全国的に知られていないもの、日が当たっていないものを広げられる場、社会をつなぐ場として考えている」と語った。
また、飛鳥クルーズとの新たな連携をテーマとして、アンカーの井上耕輔氏、山田武史氏、郵船クルーズ新造船準備室の歳森幸恵部長、同じく営業部地域戦略チームの中島丈二チーム長が意見を交わした。新造船と47都道府県のコラボレーションプロジェクト「ASUKA×47」について紹介。このプロジェクトでは各都道府県とコラボレーションした客室づくりを検討しており、各地から提案を募集し、新造船商品を発表する予定。
第3部は自然エネルギーの普及に向けた取り組みをテーマとし、電気運搬船プロジェクトなどを進めるパワーエックスの伊藤正裕社長が講演した。国内の自社工場で蓄電池を製造し、蓄電池販売事業、EV充電ステーション事業、電気運搬船事業へと展開するビジネスモデルについて紹介し、「当社が目指すのはエネルギー企業に近い」との認識を示した。
電気運搬船は「世界初の電気を運ぶエネルギー船を造る」ものになり、「(北海道や九州などの地域で)余った電気を有効に活用するメソッドとして船を提供する。この船は超付加価値船になる。日本がこの船を造ることができれば、付加価値船を世界中にデビューさせていける。今治造船と開発をしており、25年中の完成を目標とし、26〜27年には運航できる状況まで持っていきたい」と語った。
スタートアップであるパワーエックスの資金調達額は累計106億円。アンカーも昨年12月に出資し、さらに両社は22日に包括的業務提携契約を締結した。この提携について、アンカーの篠田社長は「日本全国でファイナンスも加味した上でさまざまな取り組みを進めていく」と語った。「パワーエックスはアンカーにとって“第二の飛鳥”になるのではという意見が社内から挙がった。パワーエックスは再エネを促進する、ゼロエミッションを実現するという意味で日本全国の課題に真摯に向き合おうとしている。地域金融機関と一緒に取り組んでいくものでもあり、ぜひ応援したい」とした。
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